寝るの好き

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人生で初めて海外生活している30代です。

ロンドンのNational gallery でゴッホのひまわり以外のお気に入りの絵を探す日

ナショナルギャラリーが好きだ。

ロンドンに来てからかれこれ10回以上は来ている気がする。見ても見ても行くたびにこんな絵もあるのか!と毎回の発見に嬉しくなってまた次も行きたくなる。

ナショナルギャラリーといえば、ゴッホのひまわりがとても有名で目の前にはたくさんの人がいる。ただ、有名な絵じゃなくてもこれなんか好きだなあという絵を見つけると自分の好きな絵の傾向がわかってきて面白い。

私は宗教画とか人が大きく書いてある絵よりも、風景の中にポツンと人がいたり、その絵から夏とか冬とか季節が感じられるような絵が好きだ。どちらかというと写実的なものよりもふんわりした空気感みたいなのが伝わってくる絵が好きだ。

 

↓この絵はThomas Jones(1742-1803)という方のA Wall in Naples, about 1782。

Naplesを調べたら、イタリアのナポリアメリカ合衆国のフロリダのNaplesという街が候補に出てきた。この家の感じから、どっちなのかな、とかジョーンズさんってアメリカの人っぽいけど、イタリアに行って描いたのかなとかいろんな想像が膨らんで面白い。

この家にどんな人が住んでいたのかなと思う。窓から水が流れ落ちているように見える。

11.4×16cmの小さい絵だ。

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↓こういう光をぼんやりした絵の中に落とし込んでいる絵も好き。

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展示されていた説明文から拝借すると、

Camille Pissarro(1830-1903)The Boulevard Montmartre at Night, 1897

well known for his bright landscapes, here Pissarro turns to a dusky urban street scene. He painted this view from a hotel in Paris 14 times to capture the changing light across the seasons. Having shifted away from his earlier pointillist technique, Pissarro renders the through brisk, loose brushstrokes

 

(日本語訳)

明るい風景画で知られるピサロだが、ここでは薄暗い都会の街並みに目を向けている。パリのホテルからのこの風景は、季節によって変化する光をとらえるために14回も描かれている。以前の点描画の技法から移行したピサロは、爽やかでゆったりとした筆致でこの風景を描いている。

 

14回もこれを書くなんですごいなあ、、

 

↓人物や宗教画はあまり好きではないと言ったけど、この絵は何かストーリーがあるような感じで気になった。

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Lucas Cranach the Elder(1472-1553)

Cupid complaining to Venus, 1526-7

Cupid complains to Venus that he  has been stung by bees. He holds in his hand the honeycomb he has stolen from them. The Latin verses inscribed upper right point up the moral of this episode in their comment that life's brief pleasure is mixed with pain

 

(日本語訳)

キューピッドはヴィーナスに蜂に刺されたと訴える。彼は蜂から盗んだ蜜の巣を手に持っている。右上に刻まれたラテン語の詩句は、人生の束の間の喜びは痛みと混じり合っているというコメントで、このエピソードの教訓を指摘している。

 

キューピッドが蜂の巣を盗もうとしたの面白い。笑

 

↓結構絵を描いている人たちがたくさんいた。

こういうのも海外ならではという感じで面白い。(日本ではあまり見ない気がする)
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ゴッホのひまわりと同じくらいこちらの有名だと思いますが、2017年に上野の森美術館であった「怖い絵展」にも出展されていて、ポスターを衝撃的に彩ったのがこちらの「レディジェーングレーの処刑」。私も初めて見た時はそもそもの絵の大きさにもびっくりしたし、服の艶感とか人の表情とかよく絵でこんなのが描けるな、、と圧倒されました。

 

解説は写真に収めなかったのですが、ネットで絵のタイトルを検索すると色々な解説サイトが出てくるので見られるのも面白いと思います。

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↓これも好きだった。パッと見た時に何してるんだろう?と思った。解説読んでなんか色々考えるけどはっきりとは理解していない。

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Adolf Menzel (1815-1905) Blind Man's Buff,1867

A young girl announces her presence to the man in armour by thrusting flowers at him. We see only his merry eyes. Yet this frivolous game is overshadowed by a glowering figure behind. Menzel is a soft, and at suggesting enigmatic psychological states.

 

(日本語)

若い娘が鎧を着た男に花を突きつけて自分の存在を告げる。私たちは彼の陽気な目だけを見る。しかし、この軽薄な遊びは、背後で睥睨する人物の影に隠れてしまう。メンゼルはソフトで、謎めいた心理状態を暗示する。

 

後ろの男の人は兵士に対してそういう軽薄なことはやめなさいと監視してるってことなのかな。それともこの女の人のことが好きなんだろうか。

 

↓あとこれも衝撃的だった。スザンナという人が長老2人に関係を持たないと不倫かなにかしているで訴えるぞみたいなシーンを描いている絵はたくさんあって、長老2人が入浴中のスザンナ(美しい若い娘)を下品な表情で見ている、みたいな絵。

これは自分が長老の立場になっている!と思った。

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Francesco Hayez(1791-1882) Susanna at her Bath, 1850

Hayez was the leading artist of mid 19th century Milan renowned for his elegant draughtsmanship and polished execution. The Old Testament story of Susanna bathing provided him with a pretext for painting one of his favourite subjects, the female nude

 

(日本語)

へイエズは19世紀半ばのミラノを代表する画家で、その優雅なデッサン力と洗練された表現力で知られている。旧約聖書のスザンナの沐浴の話は、彼のお気に入りの主題のひとつである女性の裸体を描く口実を与えてくれた。

 

解説にはあなたは長老ですとは書かれていなかったけど、そう思った。あと、旧約聖書のシーンなんですね。ちなみにスザンナはこの提案を拒否して、長老に訴えられたけど最終的には長老たちが嘘ついていると負けたという話みたい。

 

↓Francesco Pesellino(about 1422-1457)の特別展もやっていて、多くの人が細かく美しい絵を置かれた拡大鏡で見ていた。
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↓この受胎告知の絵もすごく綺麗な絵だった。

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DIPTYCH - THE ANNUNCIATION about 1450-3

This intimate diptych(a painting constructed from two hinged panels)demonstrates Pesellino's celebrated ability to render monumental themes in miniature. The Archangel Gabriel tells Mary she will bear the son of god. Both kneeling, they tenderly  mirror each detail in Mary's domestic surroundings and the gentle transitions between light and shadow. On the back of each panel, painted in a very different style, are heraldic devices of the Florentine Gherardi family. These may reflect Pesellino's training with his grandfather, who specialised in painting coats of arms.

 

(日本語訳)

この親密な二部作(蝶番で留められた2枚のパネルで構成された絵画)は、ペセリーノが記念碑的なテーマを細密画に描き出すという名高い能力を示している。大天使ガブリエルはマリアに神の子を産むと告げる。ひざまずく二人は、マリアの家庭環境の細部と、光と影の間の穏やかな移り変わりを優しく映し出している。それぞれのパネルの裏には、フィレンツェのゲラルディ家の紋章が描かれている。これらは、紋章を専門に描いていた祖父のもとでペセリーノが学んだことを反映しているのかもしれない。

 

 

美術館にいるときは焦って解説をじっくり読まないこともあるんだけど、こうやってちゃんと日本語訳して読むと自分が焦って理解したことと違っていたりするから、じっくり読むのは大事だな、と思いました。。笑